監修者

高橋 秀明(医師)

2009年から国立がん研究センター東病院の肝胆膵内科/先端医療科に所属し、抗がん剤治療を中心としたがん治療に携わってきました。専門領域は肝胆膵癌になります。これまで、患者さんの声に耳を傾け、不安や症状や副作用を最小限にしながら、よりよいがん治療を行うことを常に心がけてやってきました。東病院で行われている膵がん教室をきっかけに大久保さんと5yearsに出会い、お手伝いさせていただいています。

ごあいさつ

私は、医師として、多くのがん患者さんの診療に関わってきました。その経験から、5yearsを設立された大久保さんの理念に共感し、お手伝いさせていただいています。

5yearsには「希望」、「癒し」、「情報」があります。どれも、がんに対する治療を受けられている患者さんにとって大切なものですが、ここでは、5yearsで得られる「情報」の大切さについて触れたいと思います。

5yearsではさまざまな情報交換が行われていますが、がんそのものに対する治療(手術や抗がん剤など)というよりは、がんやがん治療において患者さんが困っていること悩んでいることにフォーカスされています。

これは、まったく適切なことで、がんそのものに対する治療は年を追うごとに進歩してきており、正直に申しますと医師であっても専門領域でなければついていくのが容易ではありません。一般の方が、効果や副作用を総合的にみて治療の良し悪しを論ずるのはとても難しいと思いますし、世の中には科学的背景の乏しい情報もあふれているため、真偽の定かでない情報に振り回されている方をしばしばお見掛けします。このため、がんそのものに対する治療については医師と相談されるのがベストだと考えます。

その一方で、手術後の合併症、抗がん剤の副作用、そして、がんの症状については、患者さん同士の情報交換が大変有意義だと思います。医療機関においても、医師、看護師、栄養師、ソーシャルワーカーなどががん患者さんの様々な症状や悩みに対応していますので是非相談いただきたいのですが、時間的・人員的限界もあるため、多くの患者さんお一人お一人のすべてのお悩みに対応できているわけではないと感じています。また、医療者は病気や治療について身をもって体験したわけではありませんので、症状や悩みについては実体験された方のアドバイスの方が有用なことがあります。

5yearsで得られるアドバイスの中には、例えば、私たち医療者が日頃お伝えしていることの中から、患者さんが実体験から良いと感じられた厳選されたアドバイスもあれば、医療者もあまり知らないような実体験された方でなければ分からない、かゆいところに手が届くアドバイスもあります。これらのアドバイスは、そのほとんどが医療者から見ても適切なものであり、かつ、具体的でわかりやすく記載されていますので、他の患者さんにとって大変有意義だと思います。

さらに、このようなアドバイスは治療効果の向上につながる可能性があります。がんの治療は、ただ受ければいいわけではなく、症状や副作用を適切にコントロールしながら治療を続けることが大切です。適切なコントロールができなければ、がん治療を十分に受けることができません。実際、がんそのものに対する治療だけではなく、症状や副作用をしっかりコントロールする治療を同時に受けた方が、がんの治療の成績が良いことは臨床試験によって科学的にも示されています。このため、5yearsで交換されている適切なアドバイスによってがん治療の効果の向上につながる可能性があると考えています。

そんな5yerasのアドバイス(情報)が、より信頼性の高いものになるように、医療者の立場から、専門的な知識を踏まえて、お手伝いさせていただくのが私の務めだと考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。

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